「引越し料金はいつでも同じ」「業者によって料金が異なるだけ」だと思っていませんか。実は、引越し料金は1年を通して一律ではありません。
月、日にち、時間帯によっても料金は変わり、その差は数万円に及びます。もしも引越し期間に余裕があるならば、料金が安くなる時期を選ぶと大幅な節約になりますね。
そもそも、なぜ時期によって料金が変動するのでしょうか。料金の「安い時期」と「高い時期」はいつなのでしょう。
その仕組みを読み解く鍵は、引越し依頼の数と引越し業者の状況-需要と供給のバランスです。
料金変動の背景を探って、お得な引越しを実現しましょう。
Contents
引越し料金が「高い時期」とは
1年のうちで、引越し料金がいちばん高くなるのはいつだと思いますか。それは、引越しの依頼が集中して業者が忙しくなる「繁忙期」です。
繁忙期No.1は「3月・4月」
まず、1年のうちで最も引越し料金が高くなるのは、「繁忙期No.1」の3月、4月。
4月は、企業にとっても大学などの教育機関にとっても新年度のスタートです。会社ではたくさんの新入社員が入社し、人事異動により転勤も多くなります。
大学等では入学生、編入生、留学生がこぞって入ってくる時期ですね。
このため、多くの社会人や学生が年度初めの4月から新生活をスタートするために、3月から4月上旬にかけて転居しようとし、引越しが過度に集中するのです。
繁忙期No.2は「8月」
春についで引越しが多いのは、「繁忙期No.2」の8月です。これは、社会人、学生にとって「秋」もスタート時期となるからです。
会社では、上半期が4月にスタートするのに続き、下半期が10月にスタートします。これに合わせて人事異動や採用が行われるため、転勤、就職での住所移動が発生します。
一方、大半の大学では前期・後期の2学期制を取っているため、秋は後期のスタート時期になります。編入生や、特に留学生が数多く入ってきます。
また、ここ数年で欧米の教育制度に合わせて、互いに留学がしやすいなどの理由で、秋入学を採用する大学も増加しています。
ちょうど8月は夏休み時期となるので、余裕を持って引っ越しすることができますね。このため、8月中の引越しが多くなります。
需要「引越し依頼」>供給「引越し業務」の状態
3月、4月と8月に引越しが集中するのは、毎年繰り返されることなので、各引越し業者はアルバイトを募集してスタッフを増員したり、トラックを確保するなどして、繁忙期に備えています。
この時期は、引越し業者の過密スケジュールの中、わずかな引越し枠をめぐって、「何とか新生活に間に合うように引っ越したい」という利用者のせめぎ合いとなります。
「需要=引越し依頼」が「供給=引越し業務」を上回っているということです。例えば、気候などのために野菜の出荷量が少ない時期は、値段が跳ね上がるのと同じ仕組みですね。
< 繁忙期 > | ||
---|---|---|
需要(引越し依頼) | > | 供給(引越し業務) |
引っ越したい人が多い! | 予定が一杯「大忙し!」 |
繁忙期の利用者にとって、優先順位は「引越し時期」なので、たとえ料金が高くても利用せざるを得ませんね。
引越し業者にとっては、他社と値下げ競争をする必要もないので、料金設定が高くなります。繁忙期と閑散期の料金の差は、大きい場合は1.5倍から2倍にもなりますよ。
引越し料金が「安い時期」とは
引越し料金が安い時期は、就職、進学、転勤などによる移動がほとんどなく、引越し依頼が少なくなる「閑散期」です。
需要「引越し依頼」<供給「引越し業務」の状態
繁忙期と逆で「需要=引越し依頼」が「供給=引越し業務」を下回り、引越し業者は仕事が少なくて困る時期になりますね。
業者の人手もトラックも充分足りているのに、引越し依頼が少ないという状況です。
< 閑散期 > | ||
---|---|---|
需要(引越し依頼) | < | 供給(引越し業務) |
引っ越したい人が少ない… | 予定はガラガラ「仕事がほしい!」 |
この時期は、引越し業者にとっては、料金を下げてでも業務依頼がほしいところ。
業者間で利用者の取り合いになるので、値下げ競争・サービス競争が盛んになり、その結果、引越し料金は安くなります。
日にちに余裕があるなら、3月、4月、8月を除いて引っ越すのがおすすめです。
春のスタートなら、2月下旬か3月上旬に、秋のスタートなら、9月上旬の引越しも考えてみてはいかがでしょう。引越しは1日で済ませることができますね。
引越しの準備や、転居先で新生活を始める際の手続きについて、周到に予定を立てておけば、直前の引越しも可能ではないでしょうか。
平日引越し
月のほかに、引越し料金が安くなる時期として、平日が挙げられます。
仕事や学校が休みとなる週末や祝日に引越しが集中するため、平日はがら空きとなっているからです。
もしも休みの都合がつくなら、平日の引越しの方がぐっと割安になります。1日休みを取ることと、引越し料金を天秤にかければ、検討する価値はあるでしょう。
午後引越し
また、同じ日の引越しでも、時間帯によって料金が変わってきます。午前中に荷物を運び出す「午前便」に比べて、「午後引越し」は料金が安くなるので、引越し業者に尋ねてみましょう。
「午後便」「フリー便」という言葉を、聞いたことはありませんか。
引越し業者によって、さまざまな呼び方がありますが、どちらも、午前便の荷積みを済ませた後に取り掛かる引越しです。
午前中の引越しの作業時間に応じて、次の引越しに取り掛かれるため、引越し業者にとっては、時間を有効に使うことのできる方法です。
一方、利用者にとっては時間の設定があいまいで、予定が立てづらいというマイナス面があるため、料金が低く設定されています。
「午後引越し」とは
- 午前中の引越しの後にやって来る
- 時間の設定があいまい
- 予定が立てづらい
- その分、料金が安い
飛行機やJRなど、新居への移動に公共交通機関を使うため出発時刻が決まっている人や、体調が悪い、幼い子どもがいるという方にとっては、午前中の引越しが長引く場合、引越し業者の状況次第でひたすら待つことになるため、残念ながらおすすめできません。
その一方で、時間に余裕がある方にとっては、料金を安く済ませることができるので、大変お得なプランだと言えます。
引越し日程を業者と交渉するときに、自分から担当者に尋ねてみましょう。
引越し業者の到着予定時刻とその結果がどうなるかについて、「午前便」「午後便」「フリー便」を比較してみましょう。
引越し業者の到着予定時刻 | 結果 | |
午前便 | 「午前10時に到着します」 | →予定通りに到着 |
午後便 | 「午後2時から4時に到着します」 | →午後4時に到着 →午後5時から6時になることもある! |
フリー便 | 「午後5時から7時の予定です」 | →午後7時に到着 →夜遅くなる可能性もあり! |
「午後便」「フリー便」は、プラス面とマイナス面をよく考慮して、状況に応じて選択することが大切だと言えるでしょう。
まとめ
引越し料金は、単に複数の引越し業者間で異なるだけでなく、月によって、日によって、時間帯によっても変わってくることが、お分かりいただけましたか。
料金変動の背景には、時期によって変わる引越しの数と、それに対する引越し業者の事情があります。
引越し料金が高い時期、安い時期について理解していれば、前もって休みを取ったり、業者と交渉する際にも生かすことができますね。
同じ引越しをするなら、都合にあわせて料金を抑えて引越しできるように、ぜひ工夫してみて下さい。
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