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引越し退去時の掃除の目安とは?敷金返還へのポイントをまとめてみた

住居の各所には、日々の暮らしによって、ほこりや汚れが溜まっていきます。

きれいに掃除しているつもりでも、いざ引越しで荷物を運び出してみると、気付かなかった汚れに驚く方も多いと思います。

管理業者や大家さんによる退去時のチェックを前に、「どこまで掃除すればいいんだろう」と途方に暮れることもあるでしょうね。退去の際にはどの程度の清掃をすれば良いのでしょうか。

また、「敷金の返還」をめぐって、退去時のトラブルが多く起きています。清掃状況は「敷金」の返還にどのように影響するのでしょう。

それぞれのポイントをまとめましたので、参考にして下さい。

退去時の清掃はどこまでするべきか

マンションでも一戸建てでも、いざ清掃となると、どこから手をつければ良いか分かりませんね。そもそも退去時の清掃はどこまでしなくてはならないのかを、まとめました。

場所ごとの清掃ポイント

賃貸契約での取り決めは別として、次の入居者が気持ちよく過ごせるように、また、住居への感謝の気持ちも込めて、最低限の清掃はしておきましょう。

まずは、1日の生活リズムをもとに、使用する場所ごとに清掃ポイントを押さえます。例として、とある家族の平日の過ごし方を設定してみました。

生活パターンは、家庭によってさまざまだと思うので、異なる点があっても目をつぶって下さいね。

< とある家族の平日の過ごし方 >
午前 午後
生活行動 場所 生活行動 場所
起床
トイレ
洗面
着替え
寝具片付け
布団干し・洗濯干し
調理・朝食・片付け
歯磨き
出発
寝室
トイレ
洗面所
各部屋
寝室
ベランダ
キッチン・リビング
洗面所
各部屋・玄関

帰宅
手洗い・うがい
トイレ
着替え
遊び
調理・夕食・片付け
入浴・着替え
洗濯
歯磨き
トイレ
洗濯干し

就寝

玄関
洗面所
トイレ
各部屋・洗濯機
各部屋・屋外
キッチン・リビング
浴室
洗濯機
洗面所
トイレ
洗濯機
→室内orベランダ
寝室

これを見ると、洗面所、キッチンなど、水を使う場所(水色の文字)の使用頻度が高いことが分かりますね。

洗面所とトイレは、特に数多く使用する場所ですね。実際に清掃してみると、水回りに最も手間がかかるでしょう。場所ごとの清掃ポイントは下の通りです。

  • 各部屋  :壁、床、窓ガラス、クローゼット等収納場所、ドア
  • キッチン :シンク、コンロ周り、換気扇、引き出し等収納場所
  • 洗面所  :シンク、排水口、壁、床
  • 浴室   :湯船、排水口、換気口、床、壁面
  • トイレ  :本体、床、壁、換気口
  • 洗濯機  :下側、排水口
  • 玄関   :たたき、壁、靴入れ等収納場所、玄関前
  • ベランダ :床面、排水口、壁面、室外機下側

管理業者が確認するポイント

それでは、管理業者や大家さんは、退去の際、どのような点をチェックしているのでしょうか。

担当者によって「1つひとつ念入りにチェック」「各部屋を一回りしておしまい」など、対応はさまざまですが、一般的なポイントをまとめました。

  • 入居年数  :年数に応じて使用状況は異なる。これを踏まえた上で確認スタート
  • におい   :室内全体のにおい、住まい方が丁寧だったかどうか
  • 壁、クロス :落書き、大きなキズ、タバコのヤニによる汚れ
  • 天井    :キズ、タバコのヤニによる汚れ
  • フローリング:大きなキズ
  • キッチン  :ひどい油汚れ、換気扇の汚れ
  • 浴室・トイレ:水アカ、カビ、汚れ、破損
  • 窓ガラス  :ヒビ、網戸の破損
  • ベランダ  :ひどいほこり、ゴミ

「敷金」とは何か

まず、「敷金」とは、賃貸物件を借りる際に、貸し主に預けておく「保証金」です。

退去時に家賃等の未払いがあったり、借り主の不注意によるキズや破損により修理が必要な場合に、この中から費用が支払われます。何もなければ、全額返還される「あなたのお金」です。

「敷金」の認識と「原状回復」のとらえ方

ただ、この敷金についての認識は、貸し主も借り主も、あいまいな場合が多いようです。互いに認識がずれたままで契約してしまうため、敷金を清算するときにトラブルが多発してしまうのです。

そのポイントは、「原状回復」のとらえ方。賃貸契約書に必ずと言ってよいほど記されている言葉ですね。

これについては、国土交通省が平成10年3月に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を取りまとめ、次のように定義しています。

「貸借人(借り主)の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」「原状回復は、貸借人(借り主)が借りた当時の状態に戻すことではない」

つまり、原状回復の義務が発生するのは、「借り主の過失や不注意によって生じたキズ、汚れ、破損」ということになりますね。

「敷金」から差し引かれるもの・差し引かれないもの

このガイドラインに基づいて、国民生活センターが「原状回復費用とガイドラインの考え方」を解説しているので、抜粋してご紹介します。

敷金から差し引かれるもの(借り主が負担する)

  • 飲物をこぼしたことによるシミ、カビ
  • 窓の閉め忘れなどの不注意による畳、フローリング等の変色
  • 家具の移動、引越し作業によるキズ、汚れ、破損
  • 落書きやペットによるキズ、汚れ、破損、におい
  • クーラーからの水漏れ放置による壁の腐食
  • 台所、換気扇等の油汚れ
  • 風呂、トイレ、洗面台等の水アカ、カビ
  • 鍵の紛失、破損
  • タバコ等のヤニ、におい
  • 重量物設置の釘穴、ねじ穴
  • 結露を放置したことによるカビの拡大

敷金から差し引かれないもの(借り主が負担しない)

  • 畳の表替え、裏返し
  • フローリングのワックスがけ
  • 網戸の張り替え
  • 借り主が通常の清掃をしている場合の全体のハウスクリーニング
  • エアコンの内部洗浄
  • 台所、トイレ等の消毒
  • 日照り等による畳、クロス等の変色
  • 家具の設置による凹み、設置跡
  • 冷蔵庫等の設置による壁の電気ヤケ
  • ポスター、カレンダー等の跡、画びょうの穴
  • エアコン設置によるビス穴、跡
  • 自然災害によるガラス破損等の損傷
  • 耐用年数経過による設備の故障、浴槽のひび割れ

国民生活センター「原状回復費用とガイドラインの考え方」より抜粋

トラブル防止のための「東京ルール」とは

退去時の敷金清算などに関するさまざまなトラブルを防止するために、東京都は平成16年10月より、「賃貸住宅紛争防止条例」を施行しました。これを「東京ルール」と呼んでいます。

国土交通省のガイドラインも踏まえた内容であり、借り主の立場を守りつつ、その義務についても、しっかりと明記しています。その概要についてご紹介しましょう。

業者の説明義務

この条例は、

「住宅の賃貸借に係る紛争を防止するため、原状回復等に関する民法などの法律上の原則や判例により定着した考え方を宅地建物取引業者が説明すること」

を義務付けています。賃貸住宅をめぐるトラブルが多く発生していますが、法律の原則や事例について、専門家である不動産業者がきちんと説明する義務があるということですね。

修繕費は「貸し主負担」が原則

説明内容については次のように記しています。

  • 退去時の通常損耗等の復旧は、貸主が行うことが基本であること
  • 入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが基本であること
  • 賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項
  • 修繕及び維持管理等に関する連絡先

分かりやすく言い換えると、

  • 通常の使用による汚れ、破損等の修繕費は、原則として貸し主が負担すること
  • 入居期間中に必要となる修繕は、原則として貸し主が負担すること
  • 契約の中で、借り主の負担となる具体的な内容
  • 修繕、維持、管理等についての連絡先

この4点について、契約時に管理業者が借り主に説明しなければならないことを明記しているのです。

故意・過失による修繕費は「借り主負担」

「タバコを吸っていて、うっかり畳を焦がしてしまった」「窓の結露を放置していたためカビが広がった」など、不注意や借り主の責任によって生じたキズ、汚れ、破損については、借り主が負担するということを明記しています。

借り主の「善管注意義務」

賃貸の住居は、「他人のものを借りて住んでいる」状態ですから、注意を払って住居を使用・管理しなければいけないという考え方です。「善良なる管理者としての注意義務」と言い換えられます。

借り主の負担は最小限に

修繕費を借り主が負担する場合でも、「全額を負担しなければならないわけではない」「最小単位に限定する」と定めています。

また、借り主のマナーについても、具体的に記しているので、抜粋してご紹介します。

  • 退去時のトラブルを防ぐために、マナーを守って住みましょう。
  • 契約書を確認して、退去の予告期限までに貸し主に連絡をしましょう。
  • 持ち込んだ荷物はすべて運び出し、きれいに清掃してから明け渡しましょう。
  • 退去時には、キズや破損についてよく確認しましょう。

退去時のトラブルを防ぐために

これまでの内容を踏まえ、退去時のトラブルを防ぐためにできることをまとめました。安心して入居、退去できるよう、しっかり押さえておきましょう。

  1. 借り主が負担する事例についてしっかり尋ね、納得してから契約する。
  2. 国土交通省のガイドラインや「東京ルール」をもとに、原則を確認してから契約する。
  3. 入居時に、すでに破損したり傷付いている部分を確認し、写真を撮っておく。
  4. 賃貸住居であることを認識して、節度のある使い方をする。
  5. 入居中も必要に応じて清掃、修繕し、不明な点は管理業者に確認しておく。

退去時の清掃をどこまでするかについては、明確な規定はありませんが、借り主の礼儀として、綺麗にしてから明け渡しましょう。

自分の不注意などによる汚れやキズは、退去するまでに清掃、修繕しておく必要があります。

敷金は、原則として全額戻ってくること、修繕は原則として貸し主が負担すること、借り主は、ガイドラインなどをもとに情報を把握して、納得の上で契約し入居中はマナーを守ることなど、権利と義務をよく確認することが大切ですね。

「立つ鳥あとを濁さず」で、気持ちよく退去できますように。

 - 引越しの準備

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